副社長とふたり暮らし=愛育される日々
その中には、三嶋さんも含まれているの……?

もういろいろなことが気になってしまい、悶々とした気分で朔也さんを見ていると、ちょっぴりいたずらっぽい瞳がこちらを向く。


「これも義理?」


ドキッとして固まる私。

もちろん本命だし、本当なら今が告白する大チャンスなんだろうけど、でも……!

海都くんの話がどうしても引っかかって、何も言えずにいると、朔也さんはふっと笑みをこぼした。


「どっちにしろ、ありがたくいただくよ。瑞香がくれるものならなんでも嬉しい」


こっちのほうが嬉しくなることをさらりと言って、ココアがまぶされた石畳のような四角いチョコレートにピックを刺す。

それを口に運んで味わった彼は、真顔で言う。


「これ売り物だろ。すげーうまい」

「ちゃんと作りましたよ」


褒めてもらえた嬉しさから、私はクスクスと笑った。告白はできずじまいだけど、とりあえず喜んでもらえてよかったかな。

今だけはほのぼのとした気分で、ふたつ目を口にする朔也さんを眺める。

すると、ふいに彼も私を見つめ、チョコレートを転がす口で、こんなことを問いかけてくる。


「お前も味見する?」

「え? ……っ」


味見ならもうしたけど……と思った直後、私の顎がクイッと持ち上げられる。親指で私の唇をなぞる彼は、眼差しも色っぽいものへと変化させていた。

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