副社長とふたり暮らし=愛育される日々
まさか、もふにゃんにまで悩まされることになろうとは……。

再びダメージを受け、頭を抱えていると、前を向いた明智さんが抑揚のない声で言う。


「ほかの誰かが、偶然違う種類をあげたんでしょう。妬けますね」

「はい…………えっ」


同意して頷いたものの、“妬けますね”というひと言に反応して目を開き、運転席のシートを掴んで食いつく。


「明智さん、副社長のこと……!?」


やっぱり好きなの!?と聞こうとすると、クッと口角を上げた彼は、予想に反して「冗談ですよ」と言った。


「好きは好きですが、りらさんほどではありません」


そんなふうに茶化されて、好きだというのがバレバレだったことに気づいた私は、恥ずかしくなってしおしおと体勢を元に戻すのだった。



明智さんにお礼を言い、車が去っていくのを見送ると、部屋に向かって再びとぼとぼと歩き始めた。

誰もいない部屋に入って電気をつけ、ラックの上に居座る、色違いの首輪をつけた二匹の猫を見やる。

無条件に可愛かったもふにゃんが、ライバルの化身みたいに見えてくる……。ダメだ、こんなんじゃ。

少しでも気分転換したくて、とりあえず家事をすることにした。

ご飯は食べる気がしないから、軽くキッチンの掃除をして、洗濯物を畳んで。彼のシャツにアイロンをかけたら、早めにお風呂に入ろう。

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