副社長とふたり暮らし=愛育される日々
「なんでもないならよかった。のぼせたりしてないか?」

「たぶん大丈夫で、す……」


胸元でタオルをかき合わせながら答えていて、私はようやく重大なことに気づいた。

…………タオル。私の身体を包んでいるのはタオル一枚。

裸の私にそれをかけてくれたのは、目の前にいる朔也さんで。ということはつまり、私の、は、裸を…………!?


「きゃあぁぁ~!!」


雄叫びを上げ、バッと彼から身体を背けて縮こまる。

今も、かろうじて胸とお尻を隠しているくらいだし、恥ずかしくて死にそう!

自分で自分の身体を抱きしめながら、念のため聞いてみる。


「みっ、みみみ見ました……!?」

「見てないよ、そんなには」

「……ちょっとは見たんですよね」


冷静な声が返ってきて、思わずつっこんでしまった。

やっぱり見られちゃったんだ……。好きな男の人に裸を見せるのは、愛し合う時が最初だと思っていたのに!

恥ずかしすぎる失態に、熱い顔を両手で覆って悶える。

そんな私を見てクスクスと笑う朔也さんは、「着替え、脱衣所にあるよな。すぐ持ってくるから」と言って、部屋を出ていった。


「サイアク……」


ありえない。こんな醜態を晒すなんて……しばらくショックから立ち直れないかも。

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