副社長とふたり暮らし=愛育される日々
さっきまで悩んでいたことも、今だけは吹っ飛んじゃったよ……。

顔を覆ったまま、ベッドに倒れ込みそうになっていると、すぐに朔也さんが戻ってきた。

もこもこの猫耳ルームウェアを差し出され、彼の顔を見れずに俯いてそれを受け取る。もちろん、もう片方の手はしっかりとタオルを握って。

すると、朔也さんはさらに何かを差し出してきた。


「これも置いてあったけど、お前こんなの持ってたっけ」


そう言われて、彼の手元に目を向けた私は、手の平に乗っている輝くメタリックフラワーを見て、ギクリとした。

そうだ、お風呂に入る前にピアスを外して、服と一緒に置いておいたんだった。

必要以上に仲が良いと思われたら嫌だから、海都くんからもらったとは言えないし、自分で買ったことにする? でも、嘘をつくのも嫌だし……。


「えっと、それは……」

「宝生海都にでももらったか?」


なんと答えるのがベストかと考えて口ごもっていると、見事に当てられて、私は目を見開く。

軽い笑みを浮かべていた朔也さんだけれど、押し黙る私を見て、表情が強張っていく。


「……冗談のつもりだったんだけどな。まさか当たりだとは」


彼は乾いた笑みを漏らし、おもむろにベッドに腰かけた。誤解されてしまっただろうか。

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