副社長とふたり暮らし=愛育される日々
私を押さえていた手は、身体に巻きつけたタオルにかけられる。

……このまま抱かれたくはない。朔也さんのことは大好きだし、ひとつになれたら幸せだけれど、こんな疑心だらけのぐちゃぐちゃな気持ちのままじゃ嫌だ。

あなたが独占欲を露わにするのは、私を好きだから? だったら、どうして三嶋さんと会っていたの?

彼女と会った直後なのに、どうして私に触れられるの?


「なんで……」


ぽつりと言葉がこぼれ、朔也さんの動きがぴたりと止まった。

首筋に埋めていた顔を上げた彼は、私を見下ろして目を開く。おそらく、私の目から今にも涙が溢れそうになっていたから。


「わからない……。朔也さん、ほかに親密な人がいるのに、なんでこんなふうにするんですか」


震える声で言う私を、朔也さんは“意味がわからない”と言うように、眉をひそめて見つめる。


「なんのことだ?」

「さっき、ふたりで腕組んで歩いてたでしょう。海外出張のことだって教えてくれなかった。私は、ただMimiを宣伝するためだけに必要な、都合の良い女なんじゃないんですか?」


ずっと溜めていたものを一気に吐き出すと、堪えきれない涙が耳を伝ってシーツに落ちた。

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