副社長とふたり暮らし=愛育される日々
なぜ芳江さんがこれを?と首をかしげていると、彼女はパラパラとページをめくりながら言う。


「娘が買ってきたのを何気に見てたら、載ってたのよ、あのジェントルが!」

「えっ!?」


最近ご無沙汰しているイケメンな彼が雑誌に?

一体何をしている人なのだろうかと、さすがに私も興味が湧いて雑誌を受け取る。

そして開かれたページを見た瞬間、雷に打たれたような衝撃が走り、これでもかというくらい目を見開いた。


「え……ジェントルって……この人?」

「そう、イケメンでしょう! まさかそこの会社の副社長だったなんてね~」


興奮気味の芳江さんの言う通り、紙面の中でモデルのように微笑んでいるのは、紛れもなく朔也さんだ。

うそ、朔也さんのことだったの!? ジェントルっていうから、もっと歳のいったオジサマかと思ってた!

でも、朔也さんは家庭的な料理が好きだもんね。ふくろうに通っていたのも納得がいく。

年末あたりから彼が来なくなったのは、私がふくろうと同じレシピで料理を作っていたから、お弁当を買う必要がなくなったからなのだろう。

ジェントルの正体も、彼が雑誌に載っていることも衝撃的で、穴が空くほど見つめていると、芳江さんはうふふと口元を緩める。

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