副社長とふたり暮らし=愛育される日々

『もう一度、一緒に暮らそう。今度は、恋人として』


そう言われて即OKした私は、一旦家に帰ってお兄ちゃんに仲直りしたことを話し、再び朔也さんのマンションに戻った。

彼の部屋は、一週間ほどいなかっただけでなんだか懐かしい感じがして、とても落ち着いた。すっかりもうひとつのわが家になっていたみたい。

早めに仕事を終わらせてくれた朔也さんと一緒に夕飯を食べ、お風呂に入って……一緒に寝る。

前と同じことだけれど、関係が変わるとこうも緊張するものなのか。


「どうしよう……」


猫耳ルームウェアに身を包んだ私は、寝室のドアの前で固まっている。

もう恋人同士なんだし、ただ一緒に寝るってことはない……よね? お、大人のお付き合いなんだし。ていうか、正直ちょっと期待している自分がいる。

朔也さんに、もっと愛されたい。その貪欲な想いは、抑えることはできそうにない。

覚悟を決めた私は、「よしっ」と呟きながらフードを被り、ドアをノックした。


「やっと来た、か……」


いつかと同じようにベッドに腰かけ、経済誌を読んでいた彼は、私を見て一時停止した。たぶん、私がもふもふの猫の姿になっているから。

朔也さん、この意味に気づいてくれるよね?

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