副社長とふたり暮らし=愛育される日々
緊張でもじもじしてしまう私を、ぽかんと見つめていた彼は、意味不明なことを言う。


「お前それ、イエス・ノー枕のつもりか」

「へ? いえ、スノー……?」

「わからないならいい」


私が眉根を寄せると、彼はその話をあっさりと終了させた。なんだ、いえスノー枕って。

謎の枕に気を取られていると、探るような上目遣いで私を見ている朔也さんに気づく。


「それが瑞香の意思表示だと思っていいわけ?」


いたずらっぽく口角を上げて言われ、ドキリとしつつ頷く。


「……はい」

「俺に襲われたいのか?」

「具体的に聞かないでください」


赤くなっているのが自分でもわかる顔でムッとすると、朔也さんはおかしそうに、同じくらい嬉しそうにクスクスと笑う。


「悪い。可愛いからつい、いじめたくなって」


喜んでいいのかどうなのか微妙なことを言う彼は、「おいで」と手招きする。

心拍数を上昇させてトコトコと彼のもとへ向かうと、開いた彼の足の間に座らされ、後ろからふわりと抱きしめられた。この密着感、ドキドキするけど、とても心地良い。

好きだなぁ、としみじみ感じながら、猫の耳をいじって遊ぶ彼に笑っていると、ふとあることを思い出す。

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