副社長とふたり暮らし=愛育される日々
「朔也さんが猫を好きなのは、お祖父さんの影響ですか?」

「たぶん、そう。何種類か飼ったけど、ラグドールっていうふわふわのやつが一番好きだったな」


懐かしそうに話す朔也さんの声を聞いて、やっぱりそうだったんだ、とほっこりした気持ちになる。


「でも、こんなに愛おしくて、抱きしめたくなる猫は初めてだ」


フードを取られたかと思うと、耳元で甘く囁かれ、心臓が飛び跳ねた。

冗談なんだかどうなんだかわからないけど、とにかくドキドキする!


「……私、猫じゃないです」


緊張を紛らせようとして、そんな可愛いげのないことを呟いてしまい、すぐに後悔。

ちょっと瑞香、今こそ「にゃー」とか言って甘えて、朔也さんを誘うべきだったんじゃないの?

内心がっくりとうなだれていた、その時。「じゃあ……」と彼が言うと同時に、膝の裏に片腕が回され、ひょいと持ち上げられる。


「え!? わっ!」


バランスを崩した身体は後ろに傾き、あっという間にベッドに寝かされた。上には朔也さんが覆いかぶさり、少しの意地悪さと、たっぷりの色気を含んだ瞳で、私を見下ろしている。


「瑞香はどんなふうに鳴くのか、聞かせて」


──あぁ、やばい。心臓、壊れる……!

セクシーな声で全身がぞくりとさせられ、唇が重なる前にぎゅっと目を閉じた。

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