副社長とふたり暮らし=愛育される日々
余裕がなさそうにし始めた彼も服を脱ぎ捨て、均整の取れた逞しい身体と、壊れそうなほどドキドキする私の身体を重ね合わせる。

やっとひとつに繋がれるんだと思うと、まったく怖くはなくて。

これまでと比べものにならない刺激を受け止める痛みすらも、とても愛おしく、幸せに感じた。

それはきっと、朔也さんに愛を注がれていると、目一杯感じることができたから。



「私、女に生まれてよかった……」


怠さと余韻が残る身体を少し乱れたベッドに横たえて、そんな独り言をこぼすと、腕枕をしてくれる朔也さんが穏やかに笑う。

「男にとって最高の言葉だな」と言った彼は、片腕で裸のままの私を抱き、鼻先がくっつきそうなくらい近くで、真剣な眼差しを向ける。


「これから、お前をもっと幸せにしてやりたい。俺の手で」


今も十分幸せなのにそんな言葉をくれるから、満たされた心が、さらに温かくきらきらしたもので溢れそうになる。

自然と口元が緩み、彼の胸におでこをくっつけていると……。


「一緒に来るか? ニューヨーク」


予想外の言葉が耳に飛び込んできて、私はぱっと顔を上げた。朔也さんの真剣な表情は変わらない。

私も、ニューヨークに?

突然与えられた究極の選択肢に、なんの準備もしていなかった心が大きく揺れ動いた。




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