副社長とふたり暮らし=愛育される日々
三嶋さんも、私たちが付き合っていることは知っている。

朔也さんの家族であり、会社でも良き先輩である彼女からこんなふうに認めてもらえるのは、とても嬉しいこと。ちょっぴりじーんとしながら、「ありがとうございます」と返した。

すると、何やらニヤニヤする七恵がこんなことを言ってくる。


「りらと三嶋さんも、いつか家族になる日が来るかもしれませんね」

「……は!?」

「そうなったら、たっぷり可愛がってあげるわ」


私がすっとんきょうな声を上げた直後、三嶋さんはしたり顔でそう言った。

おぉ、その笑みがなんか怖い……。

私と三嶋さんが家族に、つまり、朔也さんと結婚するなんてこと、今は夢見ているだけだけど、いつか現実になるのかな……。

明るい未来を願っていると、いつの間にか私たちのそばに来ていた明智さんが、こんなことを言う。


「私も、最初はりらさんに嫉妬していたのかもしれません」

「えっ、明智さんも?」


ていうか、私たちの話聞いてたの?と目をしばたたかせていると、彼は眼鏡を押し上げて淡々と語り出す。


「副社長はモテるくせにあまり恋人という存在を作らなかったので、私が一番の理解者だと思っていました。そこへ、突然りらさんが垣根を超えてきたわけですから……不快にもなるでしょう」

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