副社長とふたり暮らし=愛育される日々
あぁ、なるほど。ずっと朔也さんに尽くしていた明智さんなら、そういう嫉妬をしても仕方ないのかもしれない。

私はてっきり朔也さんに恋愛感情があるのかと思ったけど、嫉妬はそれだけで起こるものではないのだから。

よく考えれば当然なのに、なんで変な勘違いをしてしまったんだろう、と自分に呆れていると、三嶋さんが明智さんを肘でつつく。


「何よ明智さん、気が合いそうじゃない。朔への報われない想いを抱く者同士」

「同士、ですか」

「でもあなたの一途さを見てると、本当に朔のことが好きなんじゃないかって、たまに思っちゃうわ。ライクじゃなくて、ラブのほうね」


私が思ったのと同じことを冗談っぽく言う三嶋さんに、七恵と一緒に笑っていたのだけれど。


「そうかもしれませんね」

「…………え?」


肯定するようなひと言が聞こえてきて、私たちは同時にぴたりと笑うのをやめた。

眼鏡の奥の瞳を細め、意味深な笑みをわずかに浮かべた明智さんは、手持ち無沙汰でロビー内をぶらぶらし始める。私たちはぽかんとして、三人で固まったまま。

え、結局、明智さんってどっち!?


「明智さん、ノンケじゃないの?」

「……グレーだね」

「簡単には手に入らない限定品のもふにゃんをあげてるとこから、実はおかしいと思ってたのよ」

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