副社長とふたり暮らし=愛育される日々
気前のいいエセサンタさんに、ちょっぴり呆れにも似た気持ちを抱きつつ一階のフロアを歩いていると、途中で副社長が足を止めた。
「これも似合いそうだな」
そう言って彼が手にしたのは、キラキラとしたビジューがついた、大きめの蝶々のヘアピン。色がゴールドだからか子供っぽくなく、これも上品なデザインだ。
「わぁ、可愛い」
「こっち向いて」
蝶々から副社長に目線を上げると、私の耳を隠す髪を、大きな手がそっと掻き上げる。どうやらピンを止めようとしてくれているらしい。
男の人に髪を弄られるなんて、美容師さん以外では初めてだ……。なんかゾクゾクする。
この人はどれだけ私を動揺させれば気が済むんだ、と思いつつじっとしていると、「できた」と声がして手が離された。
隣にある小さな鏡を見やれば、耳の上に金色の蝶々が止まっている。これだけで、貧相な私の顔が見違えるようだ。
「……少しはマシになりましたかね?」
「いや」
照れ隠しでぽつりと呟くと、即否定されてしまった。
がーん、とショックを受けたものの、副社長の口からはすぐにこんな言葉が紡がれる。
「“マシ”じゃなくて、元々持ってるお前の良さを引き立たせただけだ」
その穏やかな口調と微笑みで、私の心も一気に温かくなっていく。
……お世辞だと思いたくないな、副社長が言うことは。
「これも似合いそうだな」
そう言って彼が手にしたのは、キラキラとしたビジューがついた、大きめの蝶々のヘアピン。色がゴールドだからか子供っぽくなく、これも上品なデザインだ。
「わぁ、可愛い」
「こっち向いて」
蝶々から副社長に目線を上げると、私の耳を隠す髪を、大きな手がそっと掻き上げる。どうやらピンを止めようとしてくれているらしい。
男の人に髪を弄られるなんて、美容師さん以外では初めてだ……。なんかゾクゾクする。
この人はどれだけ私を動揺させれば気が済むんだ、と思いつつじっとしていると、「できた」と声がして手が離された。
隣にある小さな鏡を見やれば、耳の上に金色の蝶々が止まっている。これだけで、貧相な私の顔が見違えるようだ。
「……少しはマシになりましたかね?」
「いや」
照れ隠しでぽつりと呟くと、即否定されてしまった。
がーん、とショックを受けたものの、副社長の口からはすぐにこんな言葉が紡がれる。
「“マシ”じゃなくて、元々持ってるお前の良さを引き立たせただけだ」
その穏やかな口調と微笑みで、私の心も一気に温かくなっていく。
……お世辞だと思いたくないな、副社長が言うことは。