副社長とふたり暮らし=愛育される日々
仕方ない、朝まで毛布に包まってやり過ごすか……。

とんだ誕生日だなと途方に暮れながら、ほぼ諦めていたその時、耳を疑うひと言が飛び込んできた。


「俺のところに来ればいい」


……え……俺のところ? って、もしかしなくても、副社長の家!?

ふたりで一晩過ごすっていうの!?

一瞬ぽかんとしたものの、すぐに意味を理解して、目と口をぱかっと開く。そうして声も出せず唖然とする私に、彼は平然と言う。


「部屋なら空いてるし、風呂も好きに使ってくれていいから」

「いっ、いやいやいや!!」


なんとか動き出した私は、もげそうになるくらい首を横に振り、必死に抵抗する。


「ダメですよ、さすがにそんなご迷惑はかけられません!」

「迷惑じゃないから言ってるんだ」


副社長は私を納得させるように、しっかりとした口調でそう言った。

暗がりに慣れてきた目には、冗談を言っているようには見えない、真面目な表情をした彼が映る。

ど、どうしよう……。居場所を与えてもらえるのはとってもとってもありがたいけど、ぬけぬけと上がり込んでいいもの!? ていうか、それ以上に問題が!


「でででも、仮にも私は女で、副社長は男なわけで……」

「俺は愛し合ってる相手としか、そういうことはしない」

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