副社長とふたり暮らし=愛育される日々
──思考も、息も、私のすべてが一瞬止まった。

まるでプロポーズのような言葉は、容易く受け止められるようなものではなくて。……なんかもう、私の頭もショートしそうだ。

遅れて心臓がバクバクと音を立て始める中、副社長は特に何も変わらない平静さで言う。


「とりあえず、お前の兄貴が帰ってくるまでな。家電はその時でいいだろ。今までひとりで頑張ってたんだから、その分のお仕置きってことで兄貴に払ってもらえ」


えぇ、たしかにお兄ちゃんにはそれくらいしてもらって当然だと思うのだけど、問題はそれじゃなくてですね……。

私、副社長と同居する、の!?


「瑞香は嫌か?」


小首をかしげて問いかけられ、ぴくりと肩が跳ねる。落ち着いて考えろと自分に言い聞かせ、私はどうしたいのか自分の心に問いかける。

少しの沈黙のあと、ぽつりぽつりと話し始めた。


「……副社長の言う通り、お兄ちゃんが出ていってから、すごく寂しかったんです。昨日は特に。でも副社長が、その寂しさを忘れさせてくれました」


昨日は本当に素敵な時間を過ごさせてもらえて、終わってしまうのが残念だった。

それは、もっとお姫様気分を味わわせてもらいたかったわけではなく、ただ、副社長と離れがたかったから。

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