副社長とふたり暮らし=愛育される日々
「今度は皆に迷惑をかけないように、しっかりやってきます。ちゃんと、海都くんと恋人同士になったつもりで」
気合いを入れて、小さくガッツポーズをしながら宣言した。しかし、副社長は私を真顔で見つめるだけで、なんの返事もない。
いつもなら『頑張れ』と言ってくれそうなものだけど……変なの。
少々不思議に思いつつ、ごちそうさまをして二人分の食器を片付け始める。キッチンのシンクにそれを置いていると、おもむろに副社長が近づいてきて、私の斜め後ろからこんなひと言を口にする。
「おまじない、かけてやろうか」
前回の海都くんとの撮影の最中の出来事を思い出し、蛇口のレバーに伸ばした手をぴたりと止めた。
あの時はかなりびっくりしたけど、効果てきめんだった。今ではあれくらいのスキンシップにも多少慣れたし……。
副社長の手にかかれば、また自分の能力を引き出してくれるかもしれない。冗談かもしれないけど、一応乗っておこう。
「そうですね。お願いしようかな」
にこりと笑ってそう言い、水を流して食器を洗い始めた、その時。
背後から腕が回され、身体を包まれる感覚がして、驚いた私は手にしていた食器をシンクに落としてしまった。
気合いを入れて、小さくガッツポーズをしながら宣言した。しかし、副社長は私を真顔で見つめるだけで、なんの返事もない。
いつもなら『頑張れ』と言ってくれそうなものだけど……変なの。
少々不思議に思いつつ、ごちそうさまをして二人分の食器を片付け始める。キッチンのシンクにそれを置いていると、おもむろに副社長が近づいてきて、私の斜め後ろからこんなひと言を口にする。
「おまじない、かけてやろうか」
前回の海都くんとの撮影の最中の出来事を思い出し、蛇口のレバーに伸ばした手をぴたりと止めた。
あの時はかなりびっくりしたけど、効果てきめんだった。今ではあれくらいのスキンシップにも多少慣れたし……。
副社長の手にかかれば、また自分の能力を引き出してくれるかもしれない。冗談かもしれないけど、一応乗っておこう。
「そうですね。お願いしようかな」
にこりと笑ってそう言い、水を流して食器を洗い始めた、その時。
背後から腕が回され、身体を包まれる感覚がして、驚いた私は手にしていた食器をシンクに落としてしまった。