副社長とふたり暮らし=愛育される日々
副社長なら、自分の恋人にはどんなふうに笑いかけるのだろう。いつも以上に優しくて、愛おしそうな顔をするのかな。
そんなふうに甘く微笑んでもらえたら、幸せだろうな……。
彼の恋人になったつもりで想像し、身を委ねていると、私は自然と笑顔になっていた。
現在二十三歳だという海都くんの腕は、副社長よりは細くて、力加減も少し弱い。
シチュエーションは同じでも、抱かれている感覚はまったく別で、昨日のように心臓が壊れそうなほどドキドキもしない。
でも、どうやらいい雰囲気を出せたらしく、撮影が長引くこともなく順調に進んだ。
それはきっと、海都くんを通して、私の目には副社長が映っていたからなのだと思う。
副社長の狙いはこれだったのだ。私に恋人感覚を植えつけて、撮影中にそれを思い出させることで、いい表情を引き出させてくれたのだと、やっと気づいた。
……それにしても、キスまですることはなかったんじゃ?と言いたいところだけど。
「ありがとうございました。お疲れ様でした」
午後六時になる少し前に撮影が終わり、片づけをするスタッフの皆に挨拶をして、私はメイクルームに向かう。
その時、後ろから「りらさん」と声をかけられて足を止めた。振り向けば、にこりと笑う海都くんがいる。
そんなふうに甘く微笑んでもらえたら、幸せだろうな……。
彼の恋人になったつもりで想像し、身を委ねていると、私は自然と笑顔になっていた。
現在二十三歳だという海都くんの腕は、副社長よりは細くて、力加減も少し弱い。
シチュエーションは同じでも、抱かれている感覚はまったく別で、昨日のように心臓が壊れそうなほどドキドキもしない。
でも、どうやらいい雰囲気を出せたらしく、撮影が長引くこともなく順調に進んだ。
それはきっと、海都くんを通して、私の目には副社長が映っていたからなのだと思う。
副社長の狙いはこれだったのだ。私に恋人感覚を植えつけて、撮影中にそれを思い出させることで、いい表情を引き出させてくれたのだと、やっと気づいた。
……それにしても、キスまですることはなかったんじゃ?と言いたいところだけど。
「ありがとうございました。お疲れ様でした」
午後六時になる少し前に撮影が終わり、片づけをするスタッフの皆に挨拶をして、私はメイクルームに向かう。
その時、後ろから「りらさん」と声をかけられて足を止めた。振り向けば、にこりと笑う海都くんがいる。