joy to the world !
目の前のことに集中しつつも、煌びやかなあかりは視界の端からいとも簡単に入り込んでくる。
金銀白に混じって、今は緑と赤がものすごく多い。
季節柄というよりはさらに限定的なモノであって、街中がひどく浮かれていくのをひと月ほど前から痛いほどに感じている。
このシーズンは特に嫌いではない。
好きでもないけど、嫌いでもない。よって普通。
ため息をつきかけたその時、
「亜子さーん、急いで買ってきました!」
ホールに響く声がした。
慌てて振り返ろうとしてもここは脚立の上。
ギシリと嫌な音を立てかけたところで反対側に重心を置き直し、ようやく落ち着いてほっとする。
「亜子さん大丈夫っすか」
「……なんとか。っていうかそんな大きな声出しちゃダメなんだってば」
「あっ」
「あじゃない。散々言ったでしょ」
脚立の下でしょんぼりしたのは、今日の仕事の相棒だ。
まだまだ新人バイトくんの大学生だから仕方ないとはいえ、ダメなもんはダメで。