謎解きソルフェージュ
大人が声をあげて泣くのを、鞠子は初めて見た。

その光景は強烈な原体験として、鞠子の胸に刻みつけられた。

父が命を賭けたもの。大の男を号泣させるほどの、強い絆。
それが犯罪捜査なのだ。

わたしもお父さんのような、警察官になりたい———
自然とそう志すようになった。

いつの日か立派な警察官になり、犯罪の捜査に加わり、犯人を逮捕する。
その時こそ、父の墓前に敬礼して報告するのだ。

「ホシを確保しました!」と。

ちなみにイメージは、ドラマや映画に出てくる颯爽とした女刑事だ。

黒スーツに白いシャツ、髪を無造作になびかせて、カツカツとヒールの踵を響かせて歩く。
いざとなれば男顔負けの腕っぷしや射撃の技術まで持っていたら、理想的だ。
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