謎解きソルフェージュ
「言ったとおりだ」
泉は告げた。
俺にも、とひどく淡々と言葉をつづける。
「俺にも、きみにとっての信念のようなものがある。それほどご大層ではないが、譲りがたいものだ。
だがきみは、自分の信念のために、俺にその節を曲げることを求めている。
ハニバル・レクターはクラリスに自分の過去を語らせることと引き換えに、捜査に協力した」
交換は等価だ、と初めて語気を強めた。
「きみが信念のために自分の身体を投げ出せたら、俺もこの事件の捜査に協力しよう」
はたしてその理論がフェアなのか、判断する思考力はもはや鞠子から喪われていた。
お断りします、という言葉を発することはできるだろう。
あるいは、目の前の男の横っ面を思いきり引っぱたいて、この静かな音に破裂音を響かせてもいい。
やろうと思えばできるはずだ。
泉は告げた。
俺にも、とひどく淡々と言葉をつづける。
「俺にも、きみにとっての信念のようなものがある。それほどご大層ではないが、譲りがたいものだ。
だがきみは、自分の信念のために、俺にその節を曲げることを求めている。
ハニバル・レクターはクラリスに自分の過去を語らせることと引き換えに、捜査に協力した」
交換は等価だ、と初めて語気を強めた。
「きみが信念のために自分の身体を投げ出せたら、俺もこの事件の捜査に協力しよう」
はたしてその理論がフェアなのか、判断する思考力はもはや鞠子から喪われていた。
お断りします、という言葉を発することはできるだろう。
あるいは、目の前の男の横っ面を思いきり引っぱたいて、この静かな音に破裂音を響かせてもいい。
やろうと思えばできるはずだ。