謎解きソルフェージュ
「むろん捜査の攪乱が目的だ」
泉の言葉は明瞭だった。

殺害の手口から、犯人が被害者に強い怨恨を持っていることは確かだ。
その場合、犯人からのメッセージはもっと過激なものになるはずだという。
たとえば、被害者の身体に刃物で刻んだり、血で壁一面に書きなぐったりといった具合に。
遺体のそばに血で小さく描かれている時点で不自然と感じるべき、と泉は両断した。



「手早く書けて、さまざまな意味を含ませることができる記号であれば、なんでもよかったんだ。魔法陣でも相合い傘でも」


事件の重要なファクターであると考えられていたものが、囮だったなんて・・・

でも、と反論を試みる。
「捜査の撹乱だけのために、記号を書き残すのは不合理ではありませんか?」

無意味な記号に目を向けさせ、捜査をミスリードする。
だがそれならば、もっと有効な手段があるはずだ。
< 57 / 102 >

この作品をシェア

pagetop