謎解きソルフェージュ
富樫から聞き出した話から、四月朔日 和也が皆本 弘人と中里 千香の二人を探すのは、探偵ならずとも容易であった。

二人ともSNSを活用しており、名前も顔写真も出して、勤務先やら行った場所、食べたものまで、プライベートを垂れ流し状態にしていたのだ。

時間をかけ、労力を傾け、和也はふたりの住所、職場、行動パターンを調べあげてゆく。
とほうもない執念。


皆本 弘人、そして中里 千香の順に殺害し、卍の血文字を残した。


すべては妹の復讐のため。


逮捕された和也は、「母に申し訳ない」そして「妹にもう一度会えたら」と、接見した弁護士に話しているという。

情状酌量の余地があるとはいえ、現行の日本の刑法では三人を残忍な手口で殺害すれば、無期懲役は免れない。
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