謎解きソルフェージュ
学校の成績は悪くなかったけれど、いずれも求められる学力は桁違いだ。

人生には熱意だけでは乗り越えられない壁があり、鞠子はその前で立ち尽くすしかなかった。

こうして挑戦することもなく、警察官になりたいという鞠子の夢は散った。

それでも、教師たちは親身になってくれた。

亡くなった父の跡を継いで警察官になりたい。

そんな朝ドラのような真っ直ぐな進路希望を持つ生徒はめったにいないからだろう。

悄然とする鞠子のために、ある進路を提案してくれたのだ。

犯罪心理学。
心理学の一分野で、大きく犯罪現象の解明を目的としている。
著名な研究者となれば、時に警察から捜査の協力を求められることもあるという。
需要にやや後ろめたさがある学問だが、いくつかの大学が専門の学科を設けている。

犯罪捜査に関わりたいという自分の夢を叶える細いひとすじの道が、そこへ伸びているように思えた。
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