謎解きソルフェージュ
さて、どこへ話がゆきつくか・・・

そちらが代議士なら、こちらは、叔父である警視庁刑事部長か、明進党副幹事長の、大叔父か。
母の従兄弟である牧 紀明も、たしか警視庁の警視正だったな。

しかし、うんざりだった。
奇怪な生き物として、大人たちに調べ回されるのも、そんな自分を護るために、大人のもつ社会権力を借りなければいけない現状にも。

自分の帰る星がないのなら、早いところこの星で大人になりたい。そんなことを思った。


———そのひとは、ひょっこりという風情で泉がいる部屋に入っていた。

身体にしみついた雰囲気は、まぎれもなく刑事(デカ)だ。
カタギではないが、しかし、彼の表情にはどことなく生来の人の良さのようなものが見え隠れしている。

「こんばんは」と言いながら目の前に腰をおろす。
「ミズノ イズミくん、だね」
調書と泉の顔を交互に見て、しゃべりかけてくる。

川瀬です、と彼は自分の名を名乗った。

及第と、下す。まずは自分の名を名乗れ。それさえしない大人が多いから嫌になる。
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