その灯火が消えるまで
「……ったく」
俺も飛び越える。
「あのなぁ。最近はジジババの用水路に落ちて死ぬ事故が多いの。これは危険なんだぞ」
「ごめんごめん!」
あはは、と笑って、結灯は丘を小走りに上っていく。
「……おい待てって!」
すでにてっぺんに着いた結灯は俺の方を見て、
「貴也早くっ!用水路飛ぶ価値あるもの、
見られるよ!」
「はあ?」
この女、何気にタフだな、なんて少し関心しつつ。
なんで俺は今、初対面の女に付いて歩いているんだ、なんて疑問に思いつつ。
頂上に足をかける。