その灯火が消えるまで

「……ったく」


俺も飛び越える。


「あのなぁ。最近はジジババの用水路に落ちて死ぬ事故が多いの。これは危険なんだぞ」

「ごめんごめん!」


あはは、と笑って、結灯は丘を小走りに上っていく。




「……おい待てって!」


すでにてっぺんに着いた結灯は俺の方を見て、


「貴也早くっ!用水路飛ぶ価値あるもの、
見られるよ!」


「はあ?」




この女、何気にタフだな、なんて少し関心しつつ。

なんで俺は今、初対面の女に付いて歩いているんだ、なんて疑問に思いつつ。




頂上に足をかける。






< 13 / 413 >

この作品をシェア

pagetop