その灯火が消えるまで
「お、俺はっ………………!
何もしてないのにっ!
なんだよ幹歩のやつ!むかつく!
ほんっとむかつく!」
「うんうん」
「美津もムカつく!
あっさり俺から乗り換えやがって!
あげくの果てに『やっぱり貴也を選ぶ』ってなんだよ!
もう俺はおまえのことなんて好きじゃねーよっ!もう電話してくんなよバカ女!」
「貴也くちわる~」
「自分にもムカつく!
なんで何も言わなかったんだよほんと!
そんで引っ越すとか逃げたみたいだわ。
恥ずかしいわ自分が!
っあああああ!くそっ!」
結灯に抱き締められて、結灯に抱きつく俺は、思いのたけをぶつけまくった。
その間中結灯は。
いつものように。
やっぱり楽しそうに、相槌を打ちながら、
俺の頭をなでていた。
その、俺を撫でる手が冷たくてくすぐったくて。
気持ちよくて、なぜか安心した。