その灯火が消えるまで
「これ以上って意味だ。大体お前だってモテるだろ」
「………いえ、全然」
結灯はにこやかに返す。
「……てめえな!俺だって」
「時に貴也くん」
俺を見る。
「いつの夜だったか、わんわん泣いてたのは、どこの誰でしたっけ」
なっ………!
「…………くっ!卑怯だぞ」
「ふふふ。わかったら参加したまえ」
「………わかったよ。でもこれからはそれを囮にすんなよ!」
「はいはい。じゃあ私用があるから、またね!」
結灯はリュックを背負って走る。
けど。
ヨロッ……
「おっとっとっ」
なぜか何もないところでよろける結灯。
「………大丈夫か?」
「ちょっとドジっただけ!じゃねっ!」
結灯は今度こそ走って教室を出ていく。