その灯火が消えるまで
「………はじめて、見た」
たくさんの蛍が宙を舞う様子は、幻想的で。
心が現れるような、感覚。
「……キレイ、だな」
「……そうでしょう?
私、これが見られる時はいつも来るんだ」
さっきまでと違い、静かに話す結灯。
「蛍は命を燃やして、光るの。
あれは、命の灯。
きれいな、儚い、命の灯。
その灯火が消えるまで、全力で生きる。」
「その灯火が消えるまで。
…………………綺麗だ。」
俺が言うと、結灯は声もなく微笑んだ。
俺たちはしばらく、
夜空を照らす蛍の大群を見ていた。