その灯火が消えるまで
幹歩は貴也なんていなかったように。
私に話をした。
私もまた、貴也なんていなかったように。
幹歩に話をした。
幹歩はあの頃の荒んだような生活をやめて。
おかしくなる前のように、
優しい、真面目な幹歩に戻った。
貴也は遠い田舎へ引っ越した。
私は女優としても活躍しはじめて。
かっこよくて優しい、人気者の彼氏もいて。
十分、満ち足りていた。
でもやっぱり。
私は、貴也が好き。
隠れてでもいい。
傷ついている貴也を救ってあげるの。
そしていつか貴也の恋人になるの。