その灯火が消えるまで




「………追えば?」


公園の入り口を呆然と見たまま、
結灯は言う。


「………追わね」


顔もみたくないレベル。

騙されてたなんて、自分が恥ずかしい。



ていうか。

「お前、蹴られたとこ大丈夫か?」

「平気平気」


結灯はふらふらと俺から離れて、背を向けて立つ。



「うっ…………っゲホッ、ゲホッ!」

体を大きく揺らして咳をする結灯。


顔も見て分かるくらい、真っ青。



「!、おいっ!大丈夫かよ?! 」

「っ……ハァ、だい、じょうぶ」


しばらく黙ったあと。

結灯は、口を開く。



「ごめんね、貴也」

「…………ん?何が?」


結灯は俺を振り返ってにっ、と笑った。


< 197 / 413 >

この作品をシェア

pagetop