その灯火が消えるまで

「貴也に内緒で話つけるつもりだったのに、返って傷つけちゃった」


さっきまでは泣いてたのに。

そんなの嘘のようにいつものように笑う。




俺の代わりに泣いてくれて。

怒ってくれて。



俺は思わず、笑う。



「いい。むしろ…………



ありがとう」




大好きだった親友は、理由なしにああなってしまったのではないと分かって。


俺のやるせない怒りや悲しみも、
なぜかすっきりして。



あの事件以来初めて、
満たされたような気持ち。


< 198 / 413 >

この作品をシェア

pagetop