その灯火が消えるまで


あっさりと。


にこやかに断った。



「えー!何かあるのかよー!」

翼は明らかに残念そう。


というか、涙が出てきそうな顔。



「うん。他のクラスの人と回るから」


「男?!」


もう、色々バレバレな質問をする翼。



「ちがうけど」


ほっ。


たぶん俺と翼二人して安心してたと思う。



「じゃあねー………あ」


行こうとした結灯は、
思い出したように振り返る。


「翼。例え私は男の子と二人で回っても
好きにならないし、それは『誰でも』同じだからね」

「…………ハイハイ」


「ん」


いつものように笑って。

結灯は踵を返す。
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