その灯火が消えるまで
「………」
確かに、
愕然としたように。
あの笑った、表情が抜け落ちた。
そしてすぐに笑った顔を『作っ』て。
「……なになに?私が病気?
…………あー、分かった、頭の病気!」
ふつうに、いつも通りに聞き返す。
何も分からない人が見れば、
ごく自然に見える顔で。
でも、俺はもう気づいてしまってるんだ。
「見たんだ。
お前が裏庭で気を失って、
保健の戸塚先生に介抱されてるとこ。
わざわざ人気のない場所を求めてたのを」
「…………」
結灯は、愕然とした顔のまま、
固まっている。
目を見開いたまま、瞳だけが揺れている。
その天才的な頭で、
なにか必死に考えているのだろうか。