その灯火が消えるまで
「別に、そんなに深刻な話じゃないんだよ」
「え、そうなん?」
結灯は蛍太郎を抱き寄せて、俺を見る。
「うん。実は私、今病気してるの」
「…………」
「でもね、手術すれば治るんだ。
だから今だけ、辛いの。
みんなには余計な心配かけたくないから
隠してるんだ。
誰かと親しくならないのも、ばれて心配かけたくないから。
はるちゃんは単に、幼馴染みでたまたま学校が赴任先だっただけ。
ほんとに、大したことないんだよ」
結灯は照れくさそうな顔で笑う。
「今だけなら、周りに頼ったっていいじゃん」
大事な人がいなくなったらさみしいとか
なんとか美津に言ってわんわん泣いてたのは、あなたさんですよね。
「ははっ、誰かの困った顔見るの、
苦手だから」
結灯は蛍太郎に顔を埋めて笑う。