その灯火が消えるまで
「………じゃあ、貴也独り占めだね。」
結灯の声が聞こえる。
「………なんだよ、独り占めって。はずい」
「ワゥ」
毛に埋まったまま話すと、
蛍太郎はくすぐったいみたいで身を捩る。
結灯が近くで笑った気配がして。
「ふふっ、貴也、ありがとっ!」
「うおっ?!」
蛍太郎に抱きつく俺の上に、
結灯はさらに抱きついて。
「私、今すごく嬉しい!」
11月の夜、
人間二人、犬一匹でくっついて。
冬が迫る寒い夜のはずなのに、
なぜか暖かかった。