その灯火が消えるまで


目を見開いて黙った俺に、

そんなに気にしないでって、笑って




「弟の、最後の願いだったんだ。

結灯の残りの人生を、出来るだけ支えてくれってね。



………俺は弟を助けたくて医者を目指してたんだ。


でも、弟は死んで、

次は、もう一人の妹のように思ってた奴が死ぬ。


なら、結灯のために、できるだけ自分の人生を傾けようってね。

弟は救えなかったけど、残されてる妹だけでも、救いたいんだ」




ものすごく、真剣な表情。




ああ、この人は本気で結灯の為だけに生きてたんだなって。



それを俺に託してくれようとしてるんだって、思えた。




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