その灯火が消えるまで
21






「ゆうちゃん。大丈夫?」

「平気平気!そんなに気にしないで!」


灯理は、心配そうな顔で私を覗きこむ。



「………ゆうちゃん、何かあったらちゃんと言ってね」

「言うよ」


灯理はしぶしぶ部屋を出ていった。

私のことで中山先生に呼ばれたんだろう。




「…………」


誰もいなくなった、長年使ってる部屋。


気のせいか、最近は無性に泣きたくなる。

泣かないけど。





「………っ、うっ!」


喉がカアッ、と熱くなって口に手を当てると、ドバッ!と手にかかるもの。



「………はぁ、はぁ」

手には大量の赤い血。



最近知った。


血って、出たてはすごく真っ赤。

でも、時間が立つと濁って、黒くなる。



………前はこんなじゃなかったのに。


血なんて、吐かなかったのに。

この前出たときは、
もう少し少なかったのに。
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