その灯火が消えるまで
「うん。私、毎日貴也のこと、見てた」
「お前が?なんで俺?他に結構いただろ」
「貴也が一番、キラキラしてたからじゃない?
あの頃、生きることにあんまり頓着なかったんだよね、私。
でも、友達に囲まれて楽しそうにサッカーする貴也見てたら、
この子みたいになりたい!って、思うようになったの」
「俺がキラキラ?」
「うん。話したこともあるよ?
その時、貴也は、こう言ってくれたんだ。
『全部、全力!』って」
ぜんっぜん覚えてない。
「…………すまん、全く覚えがない」
「ふふ、そこが貴也のいいところだ。
自分がいいこと言った自覚がないってことは、それが貴也の普通ってことだから。
昨日も貴也が『最後まで全力でやれよ』って言ったとき、また聞けて嬉しかった」
結灯はまた笑う。
「私、貴也が引っ越してきた日に会ったでしょ?
すぐに、あの子だって、分かった。
すっごく、嬉しかったんだよ」
結灯は噛み締めるようにゆっくりと言う。
なんだか俺も、じわじわ嬉しくなる。