その灯火が消えるまで


「叶多は、人の心に残りたかったんだよ。


でも、家族には、自分がいなくなったことで悲しい思いをしてほしくなかった。


だから、叶多はゲームをやり続けた」



「……………」


「叶多、死ぬ前に言ってたよ。

『僕、最後に何か生きた証が残せてよかった』って。

それ聞いて私も、もっと頑張ろうって思ったんだ」


「………そうか」


死んだやつのことを事も無げに話すのを見て、なぜか悲しくなる。


「あとね」

「ん?」



「あと、叶多が死んだとき、はるちゃんがすっごく泣いたんだ。

叶多が死ぬ時期も、死ぬことも分かってたのに。


やっぱり、はるちゃんがすごく泣いてた。

叶多の両親も。


それを見て、私もこうなるのかって。


なるべく周りから距離をとろうって、思ったのもその時」
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