その灯火が消えるまで



病院を出る時、自動ドアが開いて、
顔をあげると。



「………………あ」

「…………」



結灯の弟の灯理が、
目を見開いて立っていた。




「灯理」


「なんでてめぇが、いるんだよっ!」



灯理が走ってきて、
俺のシャツの襟元を掴み上げる。



「どうしてこの場所知ってんだよ!」


灯理の目は、ギラギラと怒りに燃えて、
すごい形相だった。



「……俺が戸塚遥香に問い詰めて、昨日会いに来た」

「……昨日?」


灯理が片眉をひそめる。


「ゆうちゃんに追い返されなかったの?」

「…………約束、した」


だんだん、息苦しくて途切れ途切れになる。
< 346 / 413 >

この作品をシェア

pagetop