その灯火が消えるまで


「…………場所、変える」


灯理は立ち上がって、俺の手をぐいっ、と引く。


(まさか、俺を殴るつもり……?)



って思ってたけど。




「座れ」



予想に反して、灯理は優しかった。


連れてかれたのは病院の裏。

ベンチがあって、その下に丘がある。
そこから、田舎の町が一望できる。



俺が座ると、灯理も不機嫌そうな顔で座る。


「………感情的になって……わ、悪かった」


ふんっ、て感じに謝る。



なんか、かわいいなコイツ。


「いや、俺も色々お前の気に障ることしてたんだと思う。

俺も、ごめんな」


灯理はぺっ、て顔をする。



………前言撤回。

< 351 / 413 >

この作品をシェア

pagetop