その灯火が消えるまで
「私、貴也を好きだったけど、言っちゃいけないってずっと思ってたから。
蛍太郎を拾ったとき、貴也に育ててほしいなって、思ったの」
結灯はぎゅうっ、と蛍太郎を抱き締める。
「私、東京から、疲れたような目をして転校してきた貴也を見て、
ああ、これが私の最後の役目だって、思ったんだ。
最後に、私の全てで、貴也を元気にして、
サッカーをまたやらせたいっ!、てさ。
でも、もし貴也が元気を取り戻せなかったら、
代わりに、
この子が道標になってくれたらなっ、て」
「…………」
こいつは、一人でそんなことを考えてたんだ。
そう思ったら、よけい愛しくなって。
「た、貴也?!」
「ワウ!」
結灯(あと蛍太郎)を、抱き締めた。