その灯火が消えるまで


すると、結灯もほっとしたように微笑む。



「……よかった。まだ、生きてる」


ふふ、とまた笑う。


最近は血が足りなくて、輸血の管も刺さってる結灯の腕は針の穴だらけ。



「……俺、ゆうちゃんが起きたって中山先生に言ってくるね」

「ああ、お願い」


灯理は、急いで出ていく。


きっと、弱った結灯を見て、また泣きそうになってる。





俺も、込み上げる熱いものを必死に抑えて、結灯を見る。


でも、結灯はやっぱり、頭がいい。



「……貴也はやっぱり、泣き虫だね」

「……え?」


涙なんて、流してないはずなのに。


「泣いてる。顔が」

結灯はおかしそうに笑う。


「は、はあ?!い、意味わかんね……」


ぽろ、ぽろ。

涙が、こぼれた。

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