その灯火が消えるまで
「ゆうちゃん?」
「……………とう、り?」
もう、ほとんど目が見えない。
聴力も落ちてきてるから、なんとか声を聞き取れる程度。
灯理は、泣きながらも、声だけは元気に、毎回一生懸命話しかけていた。
「ゆうちゃん、大丈夫?
痛いところは?」
「へい、きだ、よ。
………灯理。学校、たの、し?」
こんなになっても、弟のことを考える。
どこまで行っても、結灯は結灯だった。
「うん!楽しいよ!
気が合う友達だってできた!
ゆうちゃんも早く戻ってきてよ!
そしたら俺、今よりも何千倍も楽しくなる!」
灯理の顔は、もう涙と鼻水でぐしゃぐしゃ。
俺も、ぐしゃぐしゃだった。
「………うん。わたし、がん、ばるから」
結灯はどんなになっても、
にこにこ笑った。