その灯火が消えるまで
「たかや」
灯理がトイレへ行って、俺と結灯の二人になったとき。
さっきまでは眠っていた結灯が、
目を覚ましていた。
なんとか俺を見て、微かに笑う。
「どうした?」
「たかや。とうりのこと、よろしくね。
私、やっぱり、もう近いかなって、思う。
灯理は、私がいないとだめだって、思い込んでるだけなんだよ。
ほんとは自分で何でもできるのに。
私に、いてほしいから」
こいつは、誰よりも灯理を分かってる。
「………ああ。まかせろ」
「……貴也、ありがとう。
私、貴也がいてくれて、よかった。
今、こんなでも、貴也がいて、笑ってくれるから、すごく幸せなの」