その灯火が消えるまで
「……結灯。灯火は、消えないよ。」
どこへでもなく声が出ていた。
蛍太郎は、
俺に寄り添うように座っている。
「お前、こうやって俺に蛍太郎を残してくれたじゃん。
俺の未来まで、残してくれた。」
蛍太郎の頭を撫でる。
「……灯火は繋がれるんだ。
お前の名前だってそうだろ。
夕日の灯は、朝日に繋がるじゃないか。
同じようにお前はみんなの意思を自分に結び付けて、意思を継承してる。
お前の体はなくなったかもしれないけど、
みんなの心の中で、生きてる」
空を見上げると、蛍の灯火に照らされた星は、いつもよりきれいに見えた。
「灯火が消えれば、また誰かの灯が灯る。
俺は、それまでを全力で生きるから」
結灯に教えてもらったんだ。
諦めないこと、
努力すること、
笑えばいいことがあること、
大切な人がそばで笑うと、嬉しいこと。
全力で生きること。
たくさん、たくさん。