その灯火が消えるまで



心の中で助けを呼んだそのとき。




『大丈夫?!』


段ボールの外から、声が聞こえた。



『ワンッ!』


助けて!




最後の、僕の声。



すると。




ふわっ、と段ボール箱が浮いて、

僕の箱の中から、どんどん水が出ていった。









気が付くと僕は陸の上にいて。



箱から顔を出して見ると、

今のご主人があの子のほっぺたをペチペチ叩いていた。




『ワンッ!』


と言うと、あの子たちは僕の方を向いて笑った。



あの子は僕の頭を撫でて


『無事でよかった』

そう言って笑った。




< 405 / 413 >

この作品をシェア

pagetop