その灯火が消えるまで


それでも。


僕とご主人、あの子との楽しい時間はたくさん過ごせた。





そして、あの日。

雪がチラチラ降っていたあの夜。



あの子は、僕をぎゅうっ、と抱き締めた。


痛いほど。


でも、僕は振りほどかなかった。






だって、あの子が泣いてたから。

胸の音が、すごく小さかったから。





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