その灯火が消えるまで
そして、すっごく、すっごく、小さな声で言った。
『蛍太郎、貴也をよろしくね。
私の代わりに、たくさん、笑わせてあげるんだよ』
そうしてあの子は、帰っていった。
ご主人はいつものように見送っていた。
『ワンッ!ワンッ!』
ご主人!
なんで見送っちゃうの?
もうあの子に会えなくなるのに!
行っちゃうよ!
でも、僕の気持ちは伝わらなくて、
ご主人は不思議そうな顔で僕を引っ張るだけだった。