その灯火が消えるまで
「………どうすんだよコイツ」
「……うぅーん」
「……クゥーン」
結灯の手には、柴犬の子ども。
拾ったはいいけど。
「……うち、動物飼えない……」
「………俺はやだよ」
「……じゃあ、飼い主探さないと」
「……俺は、巻き込まれただけです。
カッテニヤッテクダサイ」
びしょ濡れの二人と一匹。
いくら夏前とはいえ、なかなか冷えてきて寒い。
犬もプルプル震えている。
「ワン!」
犬は俺に向かって吠える。
「なんだよおまえ」
だいたいお前が流れてくるから俺は今びしょ濡れなんだぞ。
「この子きっと、貴也にもらってほしいんだよ。
貴也。引き取ってよ」
「はあ?やだよ」
「わん!」
犬が鳴く。